2004年10月13日
北海道大学教職員組合
執行委員長 伊藤 雄三

北海道大学
学長 中村 睦男 殿

団体交渉申し入れ書

 本年4月に北海道大学の教職員は、その多数の意に反して非公務員の国立大学法人職員となった。「国立大学法人職員法」のようなものが存在しない現在においては、国立大学法人北海道大学と教職員の労使関係を規定する法的枠組みは労働基準法(労基法)以外には存在しない。
 労基法下では,労働条件の決定は、職務の特殊性等個別企業・法人の事情に応じて、個々の企業・法人の労使が主体的に決定する「労使自治」が基本である。
 実際、労基法は、その第2条において「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」としている。

 前回の団体交渉における労務担当理事の説明は、国立大学法人北海道大学は対等であるべき労使関係のさらに上位に人事院勧告を含む「社会一般の情勢」を置き、それを法人の賃金原則とすることを繰り返した。
 これは国立大学法人法35条によって準用されている独立行政法人通則法63条3項を言っているのであろうが、そうした情勢を考慮して賃金等を決定するのは国から独立した法人としての北海道大学であり、その際に労使自治に基づく合意を要請している労基法の枠を外れて良い根拠はどこにも無い。
 理事の説明は,国立大学法人北海道大学が,労基法が要請している労使自治に基づく良好な労使関係の構築を放棄していることを示すものである。すなわち労使対等、労使自治という労使間の基本原則に対する認識が使用者側に希薄であった勤務条件法定主義の公務員の労使関係をそのまま引きずったものであり、北大職組は到底受け入れることは出来ない。

 労使自治の下で自らの労働条件について決めることができるということなくして,非公務員となった北大教職員が安心して,あるいは生きがいを持って北大で働くことは考えられない.また「社会一般の情勢」を給与原則として重視するのであれば,現在の原油価格の高騰を観れば,ますます寒冷地手当引き下げの必要性の合理的理由は存在しない。

 運営財源を国に負っていることは、法人と国の間の関係に過ぎず、経営責任を負う法人役員はともかくとして、その関係をそのまま非公務員の個々の法人職員に押し付け得る根拠は何も無い。そういう議論が必要であるならば全教職員を国家公務員に戻した上ですべきであろう。
 以上の理由により,北大職組は前回の団体交渉は大学が使用者としての説明責任を果たしておらず不誠実であると考える。再度下記の内容について確認および説明を求め団体交渉を要求する.10月22日までに誠意を持って回答されたい。


次の通り団体交渉を開催すること。

日程:10月25日から29日のいずれかのうち1日を設定し、午後15時から開催すること。

議題:
(1)国立大学法人北海道大学と教職員の労使関係を規定するものは労働基準法であることを確認すること。
(2)寒冷地手当関係就業規則変更の根拠および合理性の説明をすること。
(3)仮に寒冷地手当を削減した場合の予定使途を明らかにすること。

以上