北大は「給与法」に従っていく

ー 平成18年度以降の給与等に関する団体交渉(2)報告 (要旨) −


 3月8日、2回目の「平成18年度以降の給与等に関する団体交渉」を行いました(北大職組出席者:坂下委員長他6名、北大水産学部職組出席者:木村委員長、大学側出席者:遠藤労務担当理事他3名)。
 この交渉は、2月8日に申し入れ、2月14日に北大職組と北大水産学部職組合同で行われた団体交渉の継続交渉として行われました。

 日 時 2006年3月8日(水)15時00分〜17時00分
 場 所 事務局特別会議室

(○:組合側発言、●大学側発言)

●冒頭、大学側から追加資料「収支計画(試算)」(資料の平成16年度は決算ベース、平成17年度以降は予算ベースでの数字)が提示され、資料の説明がなされました(要求事項1、2、6に関係)。今回の給与削減に関しては、「その他の増減要因について国に要請に行ったときに『大学は切り詰めるだけのことはやっているか』を問われ、やっていなければ馬鹿ということになる。」と説明しました。
●(要求事項3に関して)ラスパイレス指数86.6の改善については、一般職職員に関してはこれまで級別定数の問題があったが、「新たな人事・給与制度に関する中間報告(案)」が2月27日に出され、「年功的人事制度」から「職能資格制度」への転換を平成19年度を目途に考えており、国の級別定数にとらわれない運用になるので改善していけると考えている。しかし、どこまでやれるかは試算中。
●(要求事項4に関して)「国家公務員の給与水準の動きと異なる動きをすることは、当分の間、難しい」というのは、給与表・給与体系が国に準じていることが必要との意味である。これは、退職手当制度(退職手当金が国家公務員の基本給額をベースに算出され交付されるシステム)との関係である。しかし、給与表が国と同じであっても、「新たな人事・給与制度に関する中間報告(案)」の運用は矛盾するものではないが、試算中である。
●(要求事項5に関して)寒冷地手当引き下げ時より、公務員に関する社会的状況は厳しくなっている。(当時とは)状況が変わっている。(人勧が)上がれば努力する必要はあるが、しかし、アプリオリに上がったから「上げる」というものでない。基本的には両方(給与引き下げ人勧、給与引き上げ人勧)に対応することが必要と思うが、国の給与が上がったら北大も上げるとはならない(国と全く同じではない)。給与を上げるには内部留保金が必要であり、給与を上げるよう努力はするが、国の給与が上がったら北大も上げると簡単には言えない。
○現行給与体系を維持した場合大学財政がどうなるか、また、人勧にそって給与を引き下げた場合大学財政がどうなるかの資料を提示してほしい。そして、「給与を引き下げないと大学財政が破綻する(行き詰る)から引き下げざるを得ない」等の給与規程改定の根拠を示していただきたい。提示された追加資料「収支計画(試算)」の人件費は、どの給与額でのものか。また、人勧にそって給与を引き下げた場合、いくらの人件費節約になるのか。
●追加資料「収支計画(試算)」の人件費は、現行給与額での試算である。人勧にそって給与を引き下げた場合、いくらの人件費節約になるかは難しいが、年度あたりおおよそ2.6億円の節約になる。
○2.6億円浮いたからといって大学財政が好転するわけではない(大学財政全体での2.6億円は小さな数字)。経営者として健全な大学財政にするには、基本的には運営費交付金のアップを要求する必要がある。制度設計の矛盾が職員給与に跳ね返っているのはおかしい。
●勿論そうだ。節約するなど自助努力をしている姿勢を示してアップ要求をしていかなければならない。事務職員で云えば「より少ない数でより多くの仕事をしている」とは言える。
○アップを要求するために人勧に沿って給与を引き下げるのか?
○追加資料「収支計画(試算)」の数字は、人勧の内容で変わるものではなく人勧と関係なく法人化時点からの数字である。この間、理事は「人勧=社会一般の情勢」論を述べてきた。これは、給与引き下げの理由は、大学財政が逼迫しているからでなく、給与引き下げの人勧が出たからが最大の理由ですね。
●国の流れの影響を受ける。給与法に準拠していかざるを得ない。今年は人勧に国が従わないのではないかとの話もあった。人勧は甘っちょろいのでそれ以上の給与削減が必要として国が従わない場合も想定された。
○「給与法に従う」と言うことは国に従うということであり、これまで「人勧が社会一般の情勢であり人勧に従う」という発言と微妙に異なるのではないか。
●「社会一般の情勢に従う」は、国の水準に合わせることであり両者は同一。国が人勧に従わない場合、大学は給与法(国)に従う。
○財政上の理由から、「基本給4.8%削減」という数字が出てきたのではないですね。
●財政上の理由から、出てきた数字ではない。
○公務員給与に従うということは、労使交渉しないということか。
●どうしてそうなるのか。
○公務員でない我々は、労使交渉で労働条件を決めるのが筋だ。単純に公務員給与に「右ならえ」では交渉の余地がないではないか。
●今考えているのは、4〜6級では昇格しても恩恵がない。何らかの形で昇格の恩恵を反映できないか。地域手当についてはリクルート上の対策も必要だ。地域手当を1%アップさせても億単位必要。18年度から即アップは難しいが、各大学がどうするか様子をみる。
○人勧に従わず給与を引き下げない、人勧と異なる内容を適用する、あるいは北大独自の給与表でいくなどしたら「社会から批判される」と本当に思っているのか。
●基本的には独自俸給表を持つべきと思うが、おのずと運用できる範囲がある。
●今回の給与削減はゼロ百ゲームではない。
○「新たな人事・給与制度に関する中間報告(案)」を運用して「年功的人事制度」から「職能資格制度」へ転換することで、ラスパイレス指数86.6が改善されるのか。
●改善されることを期待している。大幅な人員削減で職員が減ったため職務が増えればラスパイレス指数が上がっても説明できる。
●早くに(若いうちに)昇格できるようになるので、改善すると思う。
●劇的な変化はないと思う。
●地域手当を上げるかどうか、出来るかどうかの問題。初めは国家公務員の給与がスタートライン。それで大学の教育研究がおかしくなるなら、どうしましょう、ということになる。
○(要求事項7に関して)昨年10月27日に寒冷地手当に関する団体交渉を行ったが、その後も灯油価格が高騰し、現在も異常高値のままである。寒冷地手当に関して何らかの「本学独自の対応」があって然るべきである。
●社会一般の情勢が変わったとは考えられない。道内の民間企業の状況も変化していない。よって、「本学独自の対応」は考えていない。
○「道内民間企業の状況も変化していない」とのことだが調べたのか。組合での調査では、灯油価格高騰で寒冷地手当等を増額した企業もある。
●調査はしていない。「社会一般情勢に変化があった」とは聞き及んでいない。
○今後の予定はどうなっているのか。
●3月13日の役員会に準備状況を説明し(決定はしない)、その後、運営協議会で説明し、3月16日に過半数代表(候補)者に規程案をお示しする予定。3月中にもう一回、過半数代表(候補)者説明会を開催することになろう。