始業前勤務状況の実態調査をする

ー 北大病院の看護師に関する団体交渉報告 −


 3月30日、「北大病院の看護師に関する団体交渉」を行いました(北大職組出席者:渡邉副委員長他5名、大学側出席者:平山看護部長他8名)。

 日 時 2006年3月30日(木)16時00分〜18時00分
 場 所 北大病院特別会議室


 冒頭、要求項目について一括して大学側から回答がありました。

要求事項(1) 看護師の時間外手当を全額支払うこと

要求事項(2) 看護師の出退勤時刻を正確に記録する具体的方策を示すこと 要求事項(3) 看護師の時間外労働を減らすために大学が実施した業務改善内容を具体的に示すこと 要求事項(4) 4月の新人看護師ガイダンスに際して、組合の資料配布と説明の機会を設けること
(○:組合側発言、●大学側発言)

要求事項(1)〜(3)について

○一昨年、昨年の交渉を踏まえた交渉である。「命令した分に未払いはない、師長が確認している」と回答されたが、組合の調査では師長の確認はされていない。師長の確認はどういうものか。
●師長により報告はさまざまな方法、一律になっていない。ペーパー、口頭でする人もいる。
○確認された事がない。
●どの師長がそうなのか、個々の状態、実態を知らせて欲しい。誰が不払いなのか、その方が正確に解る。
○看護師の方では、個々の実態は、看護部を恐れて出しては困ると言っている。
●命じていないものは出せない。部長は個別に師長に伝え、師長も自覚している。個々のニーズに合せて改善してきている。
○PC入力と違いがある。PC入力のデータと、各師長確認のデータを調査しているか。
●個別の師長の面接行った。
○師長が、看護師本人と確認したかが問題である。
○職場で、時間管理(始業時間前の期待目標、記録改善、短縮)に取組んだ。平成16年の自己入力を促す通知時は20〜30%の入力率であったが、60%に増え自己申告する意識は高まった。しかし、夜間の超勤について次の日に確認されない実態がある。月末のPC入力不能期間について師長への報告は、口頭、ペーパー、PC画面をハードコピーして空欄にメモするなどいろいろだが、それが支払に反映されているかの確認は出来ず、給料をもらって初めて解る。実際には入力しても支払われていないので改善していただきたい。
○時間外労働の確認作業とは、組合は「何時まで働いていたか」ということだが、大学側はそうでないだろう。例えば会議に2時間かかっても1時間に削っている部署があると聞く、そもそも自己研鑚も超勤である。
●自己研鑚に関しては、時間外労働ではないと見るので、必ずしも帰った時間が終業時刻ではない。「早く帰って下さい」と云っても「職場に文献がある」と帰らないで学習するケースがあるがそれは超勤とは認めない。命令した分については支払う。
○退勤時刻の入力記録法の指導はどうなっているのか。組合の調査では、人によって30分刻みだったり、1分刻みだったりするが、どう指導しているのか。
●分単位ですることになっている。分刻みで入力するように指導する。17時15分からの15分の休憩時間も指導している。
○実際には、超勤前に15分の休憩時間を必ず取るような指導はされていない。意識もしていない。
○時間外労働について、看護師のPC入力データと師長が「確認」して大学に報告したデータはあるか。両者の数値を比較するため、それを組合に出すことは出来るか。適当な月の分とか、1週間分とかでもいいから組合に示せ。
●どういう形で出せるか検討して組合に連絡する。
○始業前出勤についての管理はどうしているか。
●前回の実態調査の結果、始業前出勤者は8割あったが、それは命令されていないものである。始業前に出勤する必要はないと周知している。
○改善されていない。命令されていないが出ている。8時30分からの勤務者がそれ以前に出勤しているのであり変形労働制ではない。そういう時間帯の業務の必要があれば早出をつくるというが指導されていない。
●8時30分からでいいと言っているのに、命令もないのに出てきている。「始業前には出て来るな」と何回もスタッフに繰り返し指導している。
○始業前勤務は、昨年は80%であったが減ったのか。
●するなと云われて、自主的に出勤する状況を調査する必要はあるのか。
○大学として把握する必要はある。監督者として業務を開始した時間を管理監督する義務はある。
●80%がどれくらいになっているか調査はしていない。把握しているのは現場の師長であるので確認してみる。
○自主的に出勤したことをどうとるか。「黙示の指示」による時間外労働は当然労働時間として認められる。
●命令をしていないのに、やるなと云われてもやっている。どうすれば良いというのか。自由意思で勝手に出勤する事は許されない。
○30分、1時間前に何で早く出てくるのかについては、申送りが廃止され、患者の情報は個人の自己責任となった。一方 8時30分にベットサイドに行かなければならない状況がある。情報の取り方では、個々の違いはある。5分前に来る人もいれば、30分以上前に来る人、経験のない人、満足したケアがしたい人等々、職場で短時間で情報を取るように指導したことがあるが、それではモチベーションが下がるといわれた。情報収集画面展開にも時間がかかる。
●始業前勤務の命令はしていない。始業は8時30分からでいい。個人の考え、能力、経験に差がある。情報収集は始業前に全部を確認しなければならないというものではない。
○8時30分に申送りをしないので、個人がPCから情報収集しなければならない。
●始業前から来なくても現場は間に合うように、深夜勤が30分かぶっている。8時30分からで充分間に合う。間に合うと云っているのに…。
○始業前勤務の実態を調査して欲しい。各師長は放置している。労働時間管理は業務を開始した時点からである。現在の始業前勤務の実態はどうなっているのか、昨年80%あったが現在どうなっているか把握されていない。始業前勤務80%が現在どうなっているかを把握すべきである。
●8時30分に来れば充分なのに、勝手に自由意思で来ているのである。自由意思で勤務時間を決められては困る。ポイントを把握して動けばいい。記録把握は、全部の情報を把握しなければならないものではない。個人差、考え方の違いで、勤務時間を勝手に操作することは許されない。現場に業務量が多ければ8時30分からでなく、早出者を作ればいい。
○現場の実態を1週間でも調査して欲しい。
●調査することにする。

要求事項(4)について

●時間内はスケジュールが決まっている。会議室は終った後はすぐ医師が使う。この大きさの会場は他にない。休み時間は自由にさせたい。疲れて何も聞きたくない人も居る。
○組合が調べただけでも9大学でオリエンテーション時に組合の紹介をやっている。
●オリエンテーションを利用しなくても、組合が自主的にやれば良い。
○せっかく集まっている機会を利用させよということだけである。
●最近の子は軟弱で、昼休みには休みたい、話を聞きたくない人も居る。休憩を邪魔して資料を配っては、疲れているのに休憩を奪っていることになる。仮眠を取りたい人もいる。
○話して配るだけである。やってみて問題があるなら組合に言ってきてもらってもいい。
●休憩時間を奪うことになる。
○100歩譲って昼休みに資料を配布することが精神的肉体的にダメージを与えると云うなら、開始前に配る。
●それでも大学の配布物と混同するので困る。
○これは大学でやっているのではありませんと説明する。
○昨年と同じようにやって問題なければいいのではないか。昨年は資料を配布して喜ばれた。
●昼は疲れている。
○資料配布するだけでなんでそんなに問題があるのか。
●病院の業務ではありません。困ります。疲れている。組合による資料配布は、大学病院の運営に支障を来たす。8時30分から17時15分の勤務時間中に、休憩時間を保障しなくてはならない。
○「組合が昼休みに組合の資料を配布することを大学が認めることは、組合に対する支配介入になる」という大学の見解について労基署に確認したところ、「支配介入に当たらない」との回答を得ている。どうしても配布を認めないと言うなら「昼休みに資料配布させてもらえない」と道労働委員会に斡旋申請しましょうか。組合の方から大学側にやらせてくれということであり支配介入ではない。どうして駄目なのか。
●昼休みの休憩時間に5分間認める。時間帯は後でスケジュールを見て連絡する。(団交後、「12時55分〜13時」)と連絡があった)